<インタビューvol.10>次は世界へ! 野菜の流通で農業の未来をつくる(水野恭助/奥村竜太)

2018年からスタートした郡上カンパニー「共同創業プログラム」。中の人と外の人がつながりながら、郡上を舞台に数多くの挑戦が進行しています。昨年度で第3期が終了し、現在も合計7プロジェクトが進行中です。
本シリーズではプロジェクトを進める人たちに焦点をあて、郡上で挑戦するみなさんへのインタビューを通して、郡上カンパニーの今を伝えます。


第3期へのインタビュー、3組めは「郡上の野菜を世界へ! 農産物発掘発信プロジェクト」の移住者(VP) 水野恭助(みずの・きょうすけ)さんと、事業発案者(PJP) 奥村竜太(おくむら・りゅうた)さんのお二人。水野さんは大学でマーケティングを学び、その後は販売に関わる仕事に携わられていました。コロナ禍を乗り越え、奥村さんと二人でプロジェクトを終えた今、どのように感じているのでしょうか。3年間の振り返りと、これからのチャレンジについてお話を聞きました。

取材中も息がぴったりなお二人

 

興膳)それでははじめに、郡上の野菜を世界へ農産物発掘発信プロジェクトがどんなプロジェクトか教えてください。

奥村)もともと郡上はおいしい農産物がたくさんある土地なんですが、自分のつくっている野菜もそうですけど、それらが地域の中で埋もれてしまってもったいないなと感じていました。そういった農産物をもっとアピールすれば高い値段で販売できて、つくっている人たちの生活も潤っていくんじゃないかと、そういう思いから始めたプロジェクトです。

水野)そのために、既存の流通にのせない販売の仕方で、郡上の野菜を発信していくとともに、生産者の方にちゃんと利益が還元する循環をつくる取り組みをスタートさせました。

 

興膳)ありがとうございます。それでは、郡上カンパニーの3年間を振り返った感想を教えてください。

奥村)すごく実りのある、いい3年間だったなと実感していて、自分は生産や管理が中心でどうしても忙しい部分があって、発信の部分をうまくできないっていうのがあったんですけど、そこに対して水野さんという営業マンっていう、専属で郡上の農産物をPRできる人員が来たことで、すごくいい形で発信できたなと思います。

 

興膳)水野さんはいかがですか?

水野)活動の始まりがコロナ禍で、県外にも出ちゃいけない空気感が日本中にあって、販売促進に行くこともできない状況でした。その中で商品を販売していくっていうのは、マイナスからのスタートと言っても過言ではない状況だったので、そこが一番苦労しましたね。でも、だんだんコロナに対する規制も緩くなって、県外にも出やすくなってからは、比較的販売先に関しては確保できて、今も順調に販売できているかなと思っています。

 

営業を担当する水野さん

 

興膳)今回、二人三脚でプロジェクトをやられてきたわけですけど、お二人の主な役割と挑戦したことを教えていただけますか?

水野)僕の役割は、店舗さんの方に物の良さをお伝えして、消費者のところまでその商品の良さを伝えられる環境をつくって届ける仕事かなと思っています。現在郡上でつくられている野菜に関してはそれなりに販売ができる流通の形ができてきたと思いますね。今後はそれを足がかりに農作の作付面積を増やせるような方向に持っていけたらなと思っています。それが雇用の拡大にもつながると思うので。

奥村)僕がこの3年間で一番やったのは、まず商品開発ですね。外部に発信していくといっても、その商品のいいところが何なのかっていうのをうまく説明できないといけないので、農産物の差別化できる部分を明確にして、水野さんと共有して発信するっていうのを一番がんばってきました。

 

興膳)商品開発というのは、具体的にはトマトの品種とかですか?

奥村)「ひとつぶ」という品種を「みのひだ社中(※)」の独自ブランドとして開発しました。夏は郡上のトマト、冬は別の生産者の人と協力してつくってもらったトマトを扱って、1年を通してトマトを提供できる販売方法に持っていきました。販売先のバイヤーさんにとっては時期が変わるたびにトマトの仕入れ先を探さなくてもいいという利点があるので、高い評価をしてもらっていて通年出荷ができてますね。

※奥村さんが流通の促進を目的に立ち上げた会社

 


事業発案者・奥村さんの話からは水野さんへの信頼がうかがえる

 

興膳)お二人が今後チャレンジしていきたいことがあれば教えてください。

水野)元々が《郡上の野菜を世界へ》っていうワードの中で動き出したプロジェクトだったんですけど、コロナ禍というのもあって、海外に販売するっていうのがなかなかできなかったので、本来の趣旨の部分を、郡上カンパニー卒業以降にチャレンジしていけたらなと思ってます。

興膳)奥村さんはいかがですか?

奥村)これからチャレンジしていきたいこととしては、加工品の生産開発の方に力を入れていきたいなと思ってますね。実際、農産物は野菜自体の価格を上げるっていうのがかなり厳しい現状であるんですね。一方で、加工品は割と値上げに関しても市場価格等にあまり左右されないものであるので、実際につくっている農家だからこそ野菜を安く仕入れることができて、利益率の高い加工品を生み出せば、そちらで利益をあげることができるかなと思っています。

 


コロナの影響による販売促進の難しい状況の中でも、知恵を絞って確実に目標を達成してきたお二人。商品開発担当の奥村さんと、営業担当の水野さんという役割分担がお互いを支えながらプロジェクトをうまく進めているという印象を受けました。映像コンテンツでは、お二人の関係性やプロジェクトの中で印象に残ったエピソード等をお聞きしています。>>>

(2023年3月 取材:興膳健太 構成:鷲見菜月)

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